まったりサボテン育生

サボテンとの生活、平凡な日々などの記録

花の色

庭でサザンカの花が咲いていました。サザンカは秋の終わりから冬にかけて桃色の花を咲かせ、これが咲くと今年も冬が来たなぁとしみじみ感じます。

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サボテンの中にもこのような色の花を咲かせる子がいます。家に居る子だと月影丸や銀紗丸、映雪丸がそんな感じの色です。まだ咲いたことはありませんが、ロビビア属(Lobivia,現在はEchinopsisに統合)チグレリアナ(tiegeliana)も桃色の大きな花を咲かせるようです。来年、咲いてくれるかな。

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ツバキ科サザンカの花とサボテン科チグレリアナの花、どちらも同じような桃色ですが色素の由来はそれぞれ異なるそうです。

サザンカや大部分の植物は、アミノ酸チロシンおよびフェニルアラニンからアントシアニンを生合成します。

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アントシアニジンは、上のRナンバーの部分がヒドロキシ基(-OH)やメトキシ基(-OCH3)、水素(-H)に置き換わった基本構造分子で、植物体内では糖鎖が結合した配糖体の形(これがアントシアニン)で液胞に含まれています。また、アントシアニンは赤~紫~青色を呈する色素でこの範囲の色は人為的に作出することも可能です。例えば、有名な青い薔薇は青色を呈するアントシアニンを生成させるよう遺伝子操作して作り出された品種です。

一方、サボテン科をはじめとするナデシコ目(ナデシコ科、イソマツ科、ザクロソウ科を除く)の植物はチロシンからベタレインを合成します。ベタレインは分子中に窒素(N)を含む化合物で、アントシアニンと同様に糖類と結合することで安定で水に溶けやすくなり、細胞中では液胞に含まれています。

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ベタレインは主として、赤紫色を呈するベタシアニンと黄色を呈するベタキサンチンに分けられます。サボテンにはベタシアニンとベタキサンチンの両方が存在することで、赤や橙色に発色する花も有します。故 伊藤芳夫先生は他種同士を盛んに交配させて美しい色の花を咲かせる伊藤ロビビア等の品種を作出され、サボテン界に花サボテンというジャンルが生まれ、今日では様々な色のサボテンが存在しています。

ところで、ナデシコ目の植物(ナデシコ科、イソマツ科、ザクロソウ科を除く)はアントシアニン色素をもたないため青色の花は咲かず、青い薔薇のように作出することは理論上ほぼ不可能らしいです。でも、青い花のサボテン、見てみたいですね。ちなみにエビサボテンに青花蝦(Echinocereus viridiflorus)という種がありますが、青花という名前がついていても花は黄緑色です。また、菫丸(Notocactus ubelmannianus)の花は一見紫色ですが、ベタレイン色素の範囲内だそうです。

アントシアニンやベタレインだけでも数百種類以上存在し、これも色素分子の一部に過ぎません。また、ベタレイン色素の生合成系は初発反応からオキシゲナーゼの関与する酸化反応で植物がベタレイン色素の有用性を見つけたのは比較的最近である(=歴史が浅い)とか、分子構造の違いで発色が変わることとか、色の科学は奥が深いのですが難しいためここまでです。興味のある方は参考にさせていただいたHP,論文等を参照してみてください。

 

参考文献

  1. D.Muzuta et al., J.Japan.Soc.Hort.Sci., 2014, 83 (2), 156-162
  2. 農業・食品産業技術総合研究機構 | 農研機構

  3. 歴史生物学 | アブシジン酸 ルヌラリン酸 代謝 カロテノイド フラボノイド フェニルプロパノイド スチルベノイド

  4. アントシアニン - Wikipedia

 

しかし、サボレフィンは色々なサボちゃんズを咲かせてから花の考察をすべきですね。来春を楽しみに、まずは無事に越冬をさせなくては。頑張ります!

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